森田石材店ブログ - 石のお話 -
お墓の高さ
2023年05月31日 08:00
本店 山崎です。
今日はお墓の「高さ」についてです。お墓を建てる時に、この高さを気にされる方は結構いらっしゃいます。
弊社の規格の寸法というのは、9寸角の墓石ならこの高さと決まっているのですが、中には「寸法指定」の指示が出て、高さを変更する事もあります。
この高さを決める際に、確認しておいた方が良い事があります。
①墓地の規約
霊園などによっては、高さ、もしくは総高に上限があるところもあります。建てる前には規格を確認してください。
②本家のお墓の高さ
同じ墓地に本家のお墓がある場合、先祖を敬う、本家を敬うという昔ながらの考えから、分家は本家より高さを低くする慣習があります。これは、①で述べた決まりではないので、必ずしも低くしなければならないという事はありません。しかし、親戚付き合いなど後々に色々と言われても困りますので、建てる際には一度確認してください。
③周りのお墓の高さ
先ほどの本家との高さにも似てきますが、たくさん石塔が建っているような墓地で、特に隣のお墓よりもあまりにも小さくなりすぎても見劣りしてしまいますし、反対に高すぎても目立ってしまいます。同じくらいに揃えていただくのがいいかなと思います。
最近では、洋墓も主流になりつつあります。
洋墓の場合、和墓と違って背の低いものが多いので、この場合は高さよりもデザインに重点を置かれるといったパターンもあります。
周囲より背は低くなるので、高さを重視するのか、デザインを重視するのかどちらか決めておくと良いですね。
なかなかイメージがし難いですが、この現場に建ったらどんな感じかな・・・と言った場合、図面はもちろんの事、現地写真とカラー図面を合成して見ていただく事も可能です!
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子孫に教訓を伝える珍しいお墓
2023年05月30日 08:00
滝野店の中村です。
先日、セミナーの一環として「大阪の七墓」を見学してまいりました。
江戸時代のころ、大阪ではお盆に7つの墓を巡って無縁仏を供養する「七墓巡り」という風習があったそうです。
七墓の7つの墓に関しては諸説あり様々な場所がありますが、厳密にここというのはなく「大阪界隈にある7つのお墓」という感じでゆる~いルールだったようです。
七墓巡りをするとご利益があると言われ「自分の葬式の日に晴れる」とも言われていたそうです。
七墓巡りは厳かに行なわれていたわけではなく、割とどんちゃん騒ぎで今でいう盆踊りのような一種のエンターテイメントだったようです。
今回はその中の一つ「蒲生墓地」をご紹介します。
蒲生墓地はJR京橋駅を降りてすぐのところにあります。
京橋と言えば言わずと知れた「ディープな街」です。
私にとっては色んな意味で「記憶のない街」です。
墓地は居酒屋や焼肉屋に囲まれた中にポツンとあります。
普段は施錠され、厳重に管理されています。
墓地の南側は、元々川だったそうです。
そこが都市整備により埋め立てられ、そこに屋台が立ち、お店ができ…。
その結果こうなったそうです。
もうお墓が建物の中にめりこんでしまっています。何とも商魂たくましい。
こちらは墓地で一番古いお墓。
古いので彫刻内容の確認がなかなか難しいですが、江戸時代のものに違いないそうです。
中にはこんな石像も。
これらは終戦前日の8月14日の空襲の爆風で破損したそうです。
最後に、こちらはこの墓地で一番有名なお墓。
度々メディアに取り上げられいるのでご存知の方も多いかと。
私は「お墓から見たニッポン」という番組で初めて知りました。
こちらは「教訓墓」とも言われ、後世に伝える教訓が彫刻されています。
上から順に読むと、
「人」「ニ」「ハ」「|」「一」
「|」は芯棒=辛抱で
「人には辛抱が一番」と読めます。
さらにこれらを全て合体させるとある漢字になります。
皆さんわかります?
そう!答えは 金 !
「商売の秘訣は辛抱」となんとも大阪らしいユーモアで商売に絡んだ教訓です。
今回はこの墓地の他に南浜墓地にも訪れましたが、一度「七墓巡り」にも挑戦してみたくなりました。
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お墓の花立
2023年04月19日 08:00
本店 山崎です。
今日はお墓の花立についてです!
お墓参りへ行かれた際に、お花をお供えされると思います。
墓石において、お花を供える場所は、もちろん「花立」と呼ばれるところです。
弊社での一般的なお墓の花立は、このようにストレートなタイプの物ですが、同じ石塔でも花瓶型と言う花立もあります。
このように、ストレートの物と比べて、どっしりと豪華なタイプです。
また、弊社オリジナルの石塔「匠型」の花立がこちらです。
花立そのものが、下台と一体化になっています。
花立が単独ではないので、隙間がなく掃除もしやすい作りになっています。
デザイン墓においては、円柱型にしたり壺型にしたり・・・とそのバリエーションは更に増えます。
このように、一概にお墓の花立と言っても様々なデザインを選ぶ事ができます。
ぜひ、こんなところにも注目してみてください(^^♪
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Q.白い石と黒い石の違いを教えてください。
2022年11月17日 08:00
仕入れ担当の森田です。
石の色はさまざまですが、どこでその色の違いはでるのか。
ちょっと調べてみました。
Q.白い石と黒い石の違いを教えてください。
A.石の主成分や生成のされ方により色目が変わってきます。
白い石
私たちの身近でお墓に使われている白やグレーの石は花崗岩といいます。
通常、みかげ石と言われるのはこの花崗岩です。
「みかげ石」とひらがなで表現するのは、神戸市御影から産出される「本御影石」と区別するためです。
さて花崗岩は主に、長石、石英、黒雲母という成分でできています。
石の色はこの中でも長石の色で決まります。
白以外にもピンク、赤、茶、黄色などがあります。
白い貴婦人といわれる「稲田石」は茨城県産。
ピンクの石「万成石」は岡山県産です。
黒い石
黒い石は斑れい岩といいます。
花崗岩に比べて鉄分とマグネシウムが豊富です。
黒っぽいと重厚に見えますが、実際の重さも黒のほうが重いです。
白い石に比べて艶を出すのは大変ですが、しっかり磨けば鏡面のように輝きます。
数少ない日本の黒い石「浮金石」は、表面の金色の粒子が特徴です。
こちらはインドの「YKD」、真っ黒です。
黒っぽい石
紹介しました花崗岩と斑れい岩はどちらも深成岩という分類になります。
マグマが地下深くでゆっくりと冷やされてできているため、磨くと鏡のようになります。
それに比べて、もう少し地表に近いところで固まると急激に冷やされます。
小さな穴がたくさんできる場合もあり、これが安山岩や玄武岩というものです。
安山岩は私たち丹波の者にとってはとても身近です。
丹波石(鉄平石)は安山岩です。
磨いても鏡面のようにはなりませんが、独特な質感が魅力的です。
また関東地方の最高級銘石といわれる本小松石も安山岩です。
こちらは磨けばグリーンの爽やかな色になります。
多くの有名人がこの「本小松石」でお墓を作っています。
玄武岩は豊岡に玄武洞公園があります。
柱状節理といって5~6角形の柱がびっしりと立っています。
大迫力です。豊岡に行かれたときにはぜひお立ち寄りください。
これ以外にも、
大谷石で有名な凝灰岩、
とても細かい粒子を固めたような砂岩、
白い大理石といえば石灰岩(細かく分ければもっとあります)、
など、用途によって選んで使っています。
ちょっと話が脱線しましたが、今回は白い石と黒い石についてお話しました。
もう使える?ベトナムの石。
2022年10月27日 08:00
仕入れ担当の森田です。
本日はベトナムの石をご紹介します。
私がはじめてベトナムに視察に行ったのは2012年です。
当時は中国の人件費の高騰により、中国での加工は値上げラッシュでした。
多くの日本人が、もっと安く加工できるところはないかと探していました。
しかしながら、中国とのレベルの差は歴然としていて、とても使えるレベルではありませんでした。
当時の工場のようす。今もあまり変わらないかも。
建築材料の工場には、濃い赤の原石が多かった印象があります。
そんな中でありながら、当時から板材や簡単なものでスタートし、今も継続して取引をされている商社さん数社がおられます。
最近は現地で指導された成果もあり、それなりの製品が作れるようになってきています。
ベトナムの石はこれから少しずつ増えていくかもしれません。
そんなベトナムの石ですが、今回は私たちが比較的使いやすいと思いました石をご紹介します。
なお、名称は商社により異なりますので参考程度です。
■スーラオ
サンプルはこちら↓↓↓
10年前にもすでにありました。採石場はニャチャンあたりだった記憶があります(間違っていたらごめんなさい)。
山を見たときは少しサビが心配かなあと思いましたが、その心配はないようです。
色は無難な白系です。但し、目が粗いです。
切削で使う部材にはいいですが、磨くとなると小さな物はこの模様が目立ちそうです。
石の質は硬そうです。
■V688
サンプルはこちら↓↓↓
この名称は中国のG688に似ているからという安直な理由だそうです。
サンプルを見る限り、私は中国のG688よりもしっかりした印象を持ちました。
これでできた製品も見ましたが、十分に使用できる出来でした。
価格はスーラオに比べて少し高いです。
■プレイフピンク
サンプルはこちら↓↓↓
ピンクの墓石材料は不足しているもののひとつです。
以前はG668が主流でしたが、もう採れなくなりました。
建築でよく使用したG635も採れていません。
ここ数年はインドの八重桜を使っています。といってもピンクというよりは茶色に近いのです。
そこでこのプレイフピンクです。G635を少し濃くしたようなきれいなピンク色です。
これでしっかりと磨くことができれば使えそうです。
以上、3つのベトナムの石をご紹介しました。
実際の製品を見てもほぼ問題はないでしょう。
一番ネックのなのは納期ですが、それも解消されつつあるようです。
今後の増加に期待です。
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石の色
2022年10月04日 08:00
こんにちは、本店スタッフです。
みなさま、PANTONE(パントン)をご存知ですか?
世界共通の色見本帳です。それぞれの色に番号が付いていますので、例えば何か発注をする際に「パントンの何番」といえば、この色だとずばり伝わると言うわけです。
これが、番号の他に色名も付いておりまして、なにか石材にまつわる色は無いか。『stone』縛りにすると数が多そうなので、『Granite/御影石』で探してみました。
※残念ながら手元にパントン現物が無く、ディスプレイの色と比べているので誤差があります。ご了承ください。
■Granite Gray
やはりグレーはありましたね。予想では白御影石系の薄いグレーを想像していましたが濃いです。
実物の石で言うならバイオレットブルー…?
■Granite Green
落ち着いた色目のグリーンです。2022年のトレンドカラー「Very Peri」と相性の良い色として取り上げられています。
■Blue Granite
これもまた絶妙な色ですね。バハマブルーでどうでしょう。
■Brown Granite
こちらのブラウンは、2019年の春夏シーズンの注目色として取り上げられていたようです。
茶色の石で真っ先にうかんだクリスタルブラウンと悩みましたがちょっとスモーキーな感じが伊達冠石っぽいかなぁと思ったのでこちらで。
以上、四点がGraniteカラーでした(他にもあったらすみません)
御影石は色んな色が混ざっているので「ずばりこの色!」と特定するのは難しいですが、石の色をパントンに置き換えることによって、相性の良い色の組み合わせ・カラーパレットなどを知ることもできます。
そういった情報もお墓づくりのなにか参考になったらいいなぁと思いました。
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最近、流行りつつあるんです
2022年08月10日 08:00
本店の髙梨です。
先日、新しくお墓を建てさせていただきました。
花立のあたりが一般的な墓石とは異なった形をしています。
弊社が取り扱いさせて頂いております墓石で「開楽型(ひらく型)」という名称です。
以前もご紹介させて頂いているこの墓石、いろいろ特性があるのですが一言で「ウリ」を言いますと、
とにかく「納骨が楽!」です。
通常の墓石は家紋の入った水鉢と呼ばれる大きな石の塊(だいたい60~90㎏程度)をケガしないように、
ぶつけて欠けさせないようにと慎重に動かしたり、倒したりするのですが、この開楽型は違います。
前部の観音扉を開けると、奥側には引き扉があり、それを手前に開けるだけで納骨堂が現れます。
※納骨堂は地下にあるので見えません
それぞれ片手でも出来る簡単方法、しかもどちらの扉もストッパーがついてて安心です。
お参りが終われば前と奥の扉との間に付属の湯呑と線香立(ともに石製)を収納して帰れます。
この重たい石を動かさずに納骨できる「開楽型」。わりと最近人気あるんです。
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加工を証明するものもあります。
2022年02月21日 08:30
仕入れ担当の森田です。
前回は産地証明書についてお話いたしました。
今回はもうひとつの証明書である「加工証明書」についてお話したいと思います。
下のものは瀬戸内海石製品卸業連合会で発行されています「製造証明書」です。
組合に加盟されている方が加工されると発行できるそうです。
石は機械で加工されるので、どこで作っても同じなのではと思われるかもしれません。
でも実は違うのです。
特に研磨の工程は、中国の加工と日本の加工は明らかに違います。
日本の加工工場さんの中には研磨に特別なこだわりを持たれている工場が少なくありません。
研磨の工程は一般的に、
50番→100番→200番→400番→800番→1500番→3000番→バフ
となります(細かい部分は工場により違います)。
手を抜きたければ途中の番手を飛ばせば楽になります。
また800番で無理やりバフを掛けてもツヤは出ます。
反対にこだわりだすと、3000番→8000番→20000番などと、限りなく砥石でツヤを追求される工場もあります。
おそらく両者のツヤの違いを見分けることができる人はほとんどおられないでしょう。
しかし、お墓は長い間使うものです。長い目で見れば、ツヤの持ちに差は出てきます。
とはいえ、とても手間がかかるので価格も高くなります。
私の個人的な意見ですが、日本の石は日本で加工して3000番までは砥石で仕上げてほしいと持っています。
そのためには国内加工が必須なのですが・・・。あとは費用との相談ですね。
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お墓の「丸布団」って・・・?
2022年02月15日 08:00
本店 山崎です。
一般的なお墓の蓮華については、以前のブログでも紹介しました。
では、このような形は見られたことはありますか?
蓮華台と違って、少しスッキリとしたイメージです。
蓮の花はお釈迦様が故人を極楽浄土へ連れて行く時に乗せる台と考えられてきました。
そして、この蓮華台と同じ位置になる「スリン」も、本来は蓮華台であり、それが簡略化されたものと言われています。
これがあると、背が一段高くなり高級感が増します。
シンプルなデザインを蓮華台として採用する方もおられます。
「蓮華台」も「スリン」も、どちらも故人の極楽浄土への旅立を願って作られているのです。
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お墓から草が・・・?
2021年12月16日 08:00
こんにちは、篠山店の上山です。
師走も半ばを過ぎ、そろそろ年越しの準備で慌ただしくなって来る頃かと思います。
さて、仕事柄毎日のように墓地へ出向くことがあります、そこで見た光景です。
この写真は墓石なんです。
一番下の台石で芝台と言います、この下は納骨堂で大切なお骨を埋葬する場所です。
この芝台の繋ぎ目(目地)から草が生えています。
地面からの生えた草?
種が飛んできた生えた草?
そんなことはどちらでもいいのですが、問題なのは何故こんなところに草が生えてきたのかということです。
草が生えるという事は隙間があるということ。
隙間があるという事は水が浸入するということ。
水が浸入するという事はお骨が水浸しになるということ・・・。
通常、石と石は接着剤で固定し目地をコーキングし水の侵入を防ぎますが、耐久性は永久ではありません。
地面から生えてくる草は仕方がないとしても、墓石から草が生えてくるとは。
住宅もそうですが、墓石も建立後10年~15年くらい経過すればメンテナンスが必要です。
新しい年を迎えるにあたり、お住まい同様にお墓も不具合がないか見ていく必要がありますね。
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