森田石材店ブログ - 石工のひとりごと -
冬の風物詩
2009年01月12日 19:01
キン・キン・キン・キン・・・・
当社では今の時期、仕事が終わった夜にこの音が響き渡ります。
石をノミで叩く音です。
毎年この時期にこの音がするのにはわけがあります。
それは石工の技能検定が1月下旬に行われるからなのです。
若い職人が一人前として認められる登竜門として、
当社では経験年数を満たせば受験させています。
一見役に立たないような技術を今更なぜ真剣にしているのでしょうか。
石の加工は、割り・叩きが基本です。
現代では工具が発達したおかげで、切って磨くが当たり前になりました。
切って磨いた方が早くてキレイですし、古いものを直すより、
新しいものに取り替えた方が安上がりの事も多いです。
しかし、その分手づくりの味わいのようなものが消え去ってしまいました。
やはりいくらきれいに作っても、最終的には手づくりの良さにはかないません。
石を叩いていると無心になります。
しかし様々なことに気づきます。
そして古いものの良さが少しずつ見えてくるような気がするのです。
それを伝えたくてうちの職人にはこれをさせています。
まだまだ叩いて仕上げたお墓を作るのには熟練が必要ですが、
将来はひとつの作品が出来るように頑張って欲しいと思っています。
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明けましておめでとうございます
2009年01月01日 17:17
明けましておめでとうございます。
清々しい年明けとなりました。
私も朝からお寺・神社にあいさつ回りとお墓まいりに
行ってきました。
不況と言われる2009年ですが、そんなことは気にせず
まじめにコツコツやっていくしかありません。
いつもそうして多くのお客様に恵まれてきました。
今年もがんばりますよ~。
昨年は後半に息切れをしてあまり更新できなかったブログ
ですが、今年はもう少し更新していきたいと思います。
では本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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叩いたものは味が出る
2008年09月30日 21:39
庵治石を使った手加工の五輪塔が出来上がりました。
構想から約半年以上、出来上がった五輪塔には
感慨深いものがあります。
この五輪塔はとても小ぶりです。
しかし表面はすべて「ノミ切り」といって、ノミという道具で
叩いて仕上げています。
これが本当に大変な作業なんです。
考えてみれば「ノミで叩く」という同じ作業の繰り返し。
しかし出来上がったものがいいものであるには、
ごまかしのきかない熟練した技術が必要になります。
今回は伝統工芸士の方に丹精込めて叩いていただきました。
出来は、すごくいいです。
この作品はひかみ店に展示する予定です。
小ぶりですがグッと輝くものがあります。
年月を経て深みが増し、年をとるにしたがって
いいものになってゆく様を見届けたいと思いました。
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石の宝殿
2008年09月17日 07:00
白洲次郎・正子のお墓
2008年09月16日 07:00
十人の会 in 森田石材店の研修、まず最初は
三田にある心月院さんにお邪魔しました。
本日は住職のご好意で本堂をご案内していただきました。
本堂から少し山側に白洲家の墓地はありました。
白洲次郎は「葬式無用、戒名不要」と遺言に書いた人ですが、
墓石不要とは書かなかったようで、奥様である白洲正子さんが
お墓を建てられました。
古美術の世界でも有名な正子さんらしく趣のあるお墓は、
いつ見てもいいな~と思います。
素朴で、力強く、飽きがこないお墓です。
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雑誌に当社の仕事が紹介されました
2008年09月08日 11:17
通過儀礼とお墓
2008年06月09日 17:36
先日、友人のお墓づくりのお手伝いをさせていただきました。
実は家庭内のことをある先生にご相談に行った時に、
「お墓を直されたらいかがですか」
と指導されたことがきっかけだったそうです。
その先生曰く、
「工事前21日間と完成後21日間毎日お墓参りをしなさい」
とのこと。
これを言われて奥さんは、
「毎日お墓まりをして、何を念じたら良いのでしょう」
と質問されたそうです。
そしたら・・・
「愚痴言うちゃったらええねん」(←思いっきり丹波弁です)
嫌なことを人に言ったら「愚痴」になるけど、
仏さんは黙って聞いて下さいます。
だからいくら言っても「愚痴」にならんから・・・(←らしいです)
それからこの奥様、毎日お墓参りをされたそうです。
そして21日間お墓参りをされる中で、
「この家に嫁いで来て、やっと家族の一員になれた」
と感じられたそうです。
私、この話を聞いて感動しました。
確かにお墓には色んな意味があると思っていましたが、
こんな通過儀礼もあるのだなと改めて感じました。
近年では、先祖代々のお墓が主流になり、
「次の代の息子は何もしなくていい」
なんてことになっています。
ちなみに、この21日参りはこのあたりではたまに見受けられます。
お祭りの形がどうであれ、こういった経験は是非してほしいものですね。
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やっぱり庵治石は価値がある
2008年05月20日 22:41
長らく更新をサボっていました。申し訳ありませんでした。
先日庵治の展示会に10年ぶりに行ってきました。
終了2時間前に会場へ到着しましたので、客数も少なくなっていました。
テンションはチョッと下がり気味でしたが、空いていて見やすかったです。
さて展示会の内容ですが、石製品(庵治石)はとくに変わりはないように
感じましたが、機械屋さん・工具屋さんのあたりは変わりました。
大きな機械はすっかり姿を消し、代わりに洗浄機やメンテナンス工具が
主流になってきているのは、業界の現状を映し出しているようでした。
メーカーさんと話していてもやはり、
「お墓の磨きなおしの注文が増えている」とのことでした。
弊社もたまに「磨きなおし」をすることがあります。
しかし、けっこう値段もかかる割には、新品みたいにキレイになる石と
期待通りにはならない石があります。
私の今までの経験では、磨きなおして良くなるのは
やはり「庵治石」です。
しかも細目はいいです。(あくまでも私の経験です)
値段もスゴイですが、高いだけのことはあります。
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お墓見学・・・IN東京
2008年04月17日 08:56
昨年から参加してます、「十人の会」勉強会に行ってきました。
いつもはテキスト中心の講義が2日間あるのですが、
今回は夕食中に「白州次郎・正子夫妻」の話で盛り上がり、
2日目は白州夫妻の住まいだった「武相荘」(ぶあいそう)
へ行くことになりました。
個人的に「白州次郎」には以前から興味がありましたので、
大変期待して行きました。が・・・休館日でした。
ガッカリ。読みの如く「無愛想」でした。
次回の楽しみにとっておきます。
ちなみに外観だけは見ました。
寄棟造りで茅葺の家で、落ち着いた、上品な家でした。
さて、次に行ったのは、和田堀廟所「東本願寺別院」の墓地です。
有名な方では、「佐藤栄作」「樋口一葉(作家)」「古賀政男(作曲家)」
「レオナルド熊」「文明堂」「カルピス」等、立派なお墓が並んでいました。
いつも関東の霊園を見て思うことは、
「大きな墓所も小さな墓所も「日本庭園」を元に作られている」
ということです。
どのお墓にも植栽があり、花が咲いている所はとても温かみを感じます。
関西では戦後に墓相が広まった影響で、墓地から植栽が姿を消しました。
それに加えて、草が生えないように色々工夫しますので、
気がついたらチョッと冷たいイメージの霊園になっています。
私も毎日お墓参りに行く中で、「楽しみがほしいな~」と思っています。
花を植えればその成長が見れるし、植栽があれば剪定も出来ます。
飛び石や水鉢なども置いても楽しめるかも・・・。
と考えればお墓に行く楽しみも増えるように思います。
「ガーデニング」の要領で、うちのお墓改良してみようと思います。
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やっぱり皇居はすごい
2008年02月18日 18:35
先日の東京出張の時、夕刻の新幹線まで時間がありましたので、
皇居に行ってきました。
実は生まれて初めて行きました。
さて、まず行って見ての感想は、
①東京のど真ん中に広大な敷地(しかも全部デカイ)
②皇居前は車の騒音も遠く聞こえとても静かな空間
この2つにビックリしました。
実は以前から皇居には行きたかったのですが、ようやく実現しました。
それは「石積み」を見たかったからです。
皇居の石積みは、石の大きさこそ大阪城にはかないませんが、
そのつくりは見事でした。
特に「桜田門」は、大小の石が絶妙のバランスで組み合わされており、
また何種類もの石が使われてるため石の色が微妙に違っています。
意図的かどうか分かりませんが、「着物のかすり模様の様な柄」に見えて、
その美しさは言葉に出来ないぐらいでした。
やっぱりいい仕事してますね~。
近年、また日本美術(文化)が注目されています。
この石積み技術も、美しさと機能を備えた大切な日本の文化だと思います。
その他、社寺の木造建築、日本料理、呉服なども日本人の美が詰まってます。
しかしほとんど見ることができなくなってきてますね。
この「美」が今でも日常で使われているのは京都ぐらいかもしれません。
あらゆる物が「中国製」ばかりになって、本当にまずいですね。
私の身の回りも中国製であふれています。
せっかくこの国に生まれたのですから、日本人の美意識をもっと磨いて、
お墓づくりに生かすことができればと思っています。
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